日本における貧困問題について
1.日本の子どもの貧困
2.貧困の世代間連鎖
3.教育をめぐる課題
4.生活全般を巡る課題
ー就職を巡る状況
5.子どもの貧困の社会影響
ー社会影響
6.子どもの貧困に対する
政府全体の取組
※その他順次更新予定
(貧困の世代間連鎖について)
・ 貧困の世代間連鎖とは、貧困世帯に育った子どもは、大人になっても再び貧困に陥る可能性が高い、つまり子ども時代の貧困が次の世代に引き継がれる傾向が強いというものです。
・ これは、子どもの貧困と貧困の世代間連鎖は、今まさに直面している課題であるとともに、将来にわたってそれが継続的に危機をもたらすという二重の意味で、極めて重要な課題です。
・ この貧困の世代間連鎖については、現時点(2017年12月)において全国的な実態は確認できませんでしたが、複数の研修者により研究がなされています。
(大阪府のある自治体の事例)
・ 生活保護者世帯の貧困の世代間連鎖を研究している関西国際大学の道中隆氏は、2009年の著書において、大阪府内にある自治体の保護受給層(3,924世帯)のうちランダム抽出した世帯(390世帯)を調査した結果、以下を確認できたとしています。
①貧困の世代間で継承されている世帯は全体の約25%
②母子世帯に限ると約40%と、母子世帯の世代間連鎖が著しい
③世帯主の最終学歴が低いことが深く関わっている。
(世代間継承(43件)のうち中卒者又は高校中退者の低学歴者が約72%(31件)、高卒以上が約28%(12件)
④10代での出産が母子世帯106件のうち28件、その半分近くが母の最終学歴が中卒
(生活保護費保護母子世帯の分析)
・ 慶応大学の駒村康平氏、道中隆氏、成蹊大学の丸山桂氏は、2011年の論文において、生活保護被保護母子世帯を数量的に分析し、以下を確認できたとしています。
①母親の3割以上が成育期に生活保護を経験し、高卒未満という学歴や10代出産等、成育期に発生した事柄が現在の生活の重荷になっている
②就労阻害要因には母親の健康状態と学歴がある
③DV,児童虐待、母子の健康状態の悪化等、家庭内のハンディが累積、集中している
・ こうした研究結果からも、子どもにとって幼少期の経済的不利益が、学歴、健康、住居、家庭環境、児童虐待等の様々な面で大きな悪影響を及ぼし、その結果として、貧困の世代間連鎖の原因になってしまっていることがわかるかと思います。